歯の根が折れる歯根破折(しこんはせつ)の症状

香川県 高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
歯の根が割れてしまう「歯根破折(しこんはせつ)」が起こるとどんな症状が出るのか?また、このような症状が出る理由をお話します。


歯根が破折した場合の症状
歯肉に膿疱ができる
歯の根っこ(歯根)にヒビや亀裂が入っている場合その亀裂の隙間からお口の中にある細菌が侵入します。その細菌が歯の根の先に膿を作り根の先に細菌の「かたまり」ができまてしまいます。この細菌のかたまりである膿が骨を通って歯肉の表面に出口を作ります。舌で触るとできものが出来ているように感じます。この膿はご自身の体調により出たりへっこんだりします。口の中のできものが何度もできたり消えたりすると感じる方もいます。
歯肉が腫れる
歯根が割れた歯の周囲の歯肉が腫れることがあります。歯肉の中で膿ができている状態です。体調によって歯茎が腫れる日もあれば引っ込んでいる日もあります。お痛みはないことがほとんどです。膿の出口がふさがってしまった場合には圧がかかり出すため痛みを感じるようになります。歯の根周辺に細菌のかたまりである膿が溜まっているため口臭が発生しますがご自身で口臭を感じることはありませんが周囲の方は口臭に気が付くこともあります。
噛んだ時の違和感
噛むと違和感を感じたり痛みを感じる場合があります。強く噛んでいると痛く腫れる場合には歯の根にヒビや亀裂が入っている可能性があります。
差し歯が取れやすくなる
差し歯は、ご自身の残っている歯の根に土台を差し込みクラウンを被せています。しかしこの差し歯がしょっちゅう外れてしまう場合には、歯根にヒビや亀裂は入っているか、割れていることがあります。
歯の根の治療をしているが良くならない
歯の根の治療(根管治療)を行っているがなかなか症状が改善せず痛みが治まらないという場合があります。もちろん歯の根の治療方法に問題がある場合もありますが、歯根破折である場合にはどれだけ根管治療を行っても改善しません。歯の根が割れている場合、穴やヒビの隙間から薬が漏れてしまい歯の根の先まで薬が到達せず菌を殺すことができません。歯根破折かどうかの診断が重要です。
神経が生きている歯の場合には激痛が起こる
神経が生きている歯(生活歯)の場合に歯根破折が起こっていると激しい痛みが起こります。ズキンズキンと脈打つような激痛になることがあります。感覚としてはたった1日で起こったように感じます。夜中に歯軋りにより歯が割れてしまいいきなり激痛が起こったという方も少なくありません。
症状が出る理由
痛みが出るのはそこに「菌」が存在するから、です。歯の根にヒビや亀裂が入ることにより隙間から細菌が歯肉の奥深く侵入し様々な症状を起こします。歯根破折の状態を放置しておくと侵入した細菌によって歯根膜が失われつぎに歯を支えている歯槽骨も溶かし始めます。

歯根破折の状態を何年も放置しておかれてやっと来院される方もいらっしゃいます。炎症ですので体調によって腫れが出たり引いたり、膿が出たり引っ込んだりするため「何度も腫れやできものを繰り返してるんです」ということで来院されます。歯根破折はよほどの炎症を起こして腫れない限り痛みは感じないことがほとんどです。自覚症状が全くない方もいます。歯科医院で定期健診の時にレントゲン写真を撮影して指摘されるまで歯根破折に気がつかなかったという方も多くいらっしゃいます。自覚症状がないため腫れを繰り返すたびに歯槽骨は溶けてなくなっていっています。歯を支える歯槽骨が溶けてなくなると当然、歯がグラグラして揺れ始めます。何もしなくてもそのまま歯が抜けてしまう場合もあります。
歯の破折を防ぐには
歯が中から割れてしまう歯根破折となると多くの歯科医院では「抜歯診断」となり、その日のうちに抜歯治療が行われることがほとんどです、しかし症状が非常に浅い軽度であり、歯の根の上で割れている場合であば割れた部分を特殊な接着剤で接着し封鎖する治療ができる場合もあります。割れた箇所のみを取り除く部分抜歯という治療法もあります。歯髄(神経・血管)部分まで割れて言う場合には出血しているため出血を止めるために神経を取る治療が必要となります。
どんなに歯みがきをちゃんとしていても定期的に歯医者さんにメインテナンスに通っていても「歯根破折」で歯を失うことはあります。歯根破折は力による破折から歯を守るための予防をしなくては防ぐことはできません。雨垂れ石を穿つという言葉があるようにどんなに小さな咬む力であっても毎日積み重なっていくとある日突然歯は限界値に達し破壊されます。いかに歯に強い力がかからないように予防していくかということが歯を失わないために必要です。