歯科検診に通っていても抜歯になってしまう理由
香川県 高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
60歳で歯には自信があったとお話して下さった男性の患者さんです。
お若い時から歯への意識は高く、定期的な歯科検診は欠かさず通っておられたそうです。
硬いものをよく噛んで食べる食生活を続けておられました。
ある日、奥歯に激痛が走り慌ててかかりつけの歯科医院へ。
診断は「歯が深くまで割れているので抜歯になります」と診断をお受けになりました。
今まで歯の掃除は毎日欠かさず行い、定期的に歯科医院で歯石を除去してもらっていたのに
「歯が割れた?抜歯ですか??」と驚かれました。
今まで虫歯はなく、歯周病の症状もなく過ごしてこられたため
本当に驚かれたそうです。
いろいろ探され吉本歯科医院に来院されました。
「定期的に歯医者さんに通っていたのに抜歯診断になった」と驚かれ
歯を抜きたくない、歯を残せないかとご相談にお越し下さる患者さんは非常に多いです。
8020推進財団という組織があります。
80歳で20本の歯を残そうというスローガンをもとに設立されている組織です。
この財団が永久歯の抜歯原因を調査したものがあります。
その中で
虫歯や歯周病がコントロールされたメインテナンス下では失われた歯のほとんどが失活歯であり歯の喪失の最も一般的な原因は「歯根破折」であった。
という報告があります。
これはどういうことかというと
定期的に歯科医院にメインテナンスに通っている方は虫歯も歯周病もならないように維持することができている。
そのため虫歯や歯周病により抜歯となることはほぼない。
定期的にメインテナンスに通っている方が歯を失う最も大きな原因は「歯根破折」である。
ということです。
歯の破折は盲点
破折に関しては盲点であるためなかな気が付きにくいわけです。
虫歯や歯周病はテレビや雑誌でも「歯を磨こう」「定期的に歯の掃除に行こう」と啓蒙されていますが
破折に関してはまだまだ多くの国民が知らないのが現状です。
※8020推進財団 永久歯の抜歯原因より抜粋
そして歯根破折が起こりやすい歯とは「過去に神経を取る治療をしている歯」なのです。
歯の神経を取ってしまうとその歯は枯れ木状態となり強度は10分の1まで落ちています。
歯の神経を取らなくてはいけないような状態にしないことがまずは大事です。
虫歯や歯周病もなく歯は丈夫なんだという方であっても、破折により抜歯となってしまうケースはよくあります。
歯の破折に対する予防を行わなくてはいけません。
歯の破折を防ぐには
歯が中から割れてしまう歯根破折となると多くの歯科医院では「抜歯診断」となり、その日のうちに抜歯治療が行われることがほとんどです、しかし症状が非常に浅い軽度であり、歯の根の上で割れている場合であば割れた部分を特殊な接着剤で接着し封鎖する治療ができる場合もあります。割れた箇所のみを取り除く部分抜歯という治療法もあります。歯髄(神経・血管)部分まで割れて言う場合には出血しているため出血を止めるために神経を取る治療が必要となります。
どんなに歯みがきをちゃんとしていても定期的に歯医者さんにメインテナンスに通っていても「歯根破折」で歯を失うことはあります。歯根破折は力による破折から歯を守るための予防をしなくては防ぐことはできません。雨垂れ石を穿つという言葉があるようにどんなに小さな咬む力であっても毎日積み重なっていくとある日突然歯は限界値に達し破壊されます。いかに歯に強い力がかからないように予防していくかということが歯を失わないために必要です。