歯に縦に入ったひび割れ

歯に縦に入ったヒビは自然治癒しますか？

歯に縦のヒビが割れが入っているのが見えるのですがヒビは自然に治りますか？というご相談を頂きました。

結論から申しますと
歯に縦にひび割れが入ってしまった場合には、自然治癒がありません。

安静にしておけばヒビがくっつくというものではありません。

腕や足などの骨にひびが入ったり骨折した場合には、その部分が動かないようにギブスでしっかり固定していると２～３ケ月で骨がくっついたりして治っていきます・
しかし歯はそうはなりません。ヒビ割れが浅い場合にはこれ以上ヒビが深くならないように保護することが必要です。

しかし、歯に縦のひび割れが深い場合には、その割れたヒビ部分から細菌が侵入し歯を支えている歯槽骨にまで菌が到達し、骨を溶かします。

また、ヒビ割れ部分には菌が溜まりやすく侵入しやすいため腫れや痛みといった症状がそのうち出てしまうこともあります。

たとえ小さく浅いヒビや亀裂であっても自然に治ることはありません。

ですからもうこれ以上ヒビが深くならないように注意する必要があります。

割りばしをイメージしてみてください。これは割りばしの写真です。

割りばしに力がかかると隙間が開きます。

力がかからなくなるとその隙間は閉じます。
力がかかって隙間が開くと歯の場合には歯がしみます。
力がかからなくなるとその隙間が閉じてしみなくなっていきます。

割り箸を何度も何度も力を加えて、ある限界点に到達した時一気に割り箸は割れてしまいます。

われた割り箸の断面は硬いですよね。直線的ですよね。

歯も同じように割り箸を割った時のように直線的に硬い面を残しながら割れてしまうのです。

割れた部分のヒビが有る程度進んで、噛むことにより歯を押し広げるような力が働く様になると、歯の中の歯髄（神経）を刺激し痛みが出ます。

歯に縦にヒビが入り、歯の根部分まで亀裂が入ってしまった場合には「歯根破折」と言い歯を抜く抜歯処置が必要となってきます。

抜歯をした後は、抜歯した部位によっても治療の選択肢が変わってきますが、失った部分の歯を補う治療が必要です。

歯は非常に硬い部分ですが長く使い続けていると（年齢を重ねると）経年劣化のように歯に縦にヒビが入ってくることがあります。

肉眼で見える程度のヒビではなく歯医者さんで歯の拡大写真を撮影した時に「ヒビが入っていますね」と見つかる場合もあります。

痛い、違和感があるという自覚症状が一切ない場合にも、レントゲン撮影すると歯のひび割れが見つかることもあります。
縦にひび割れしている歯は、レントゲン上で歯の根の周りが黒っぽく映ります。

また逆に、痛いといった自覚症状があってもレントゲン写真にはうつってこない場合もあります。歯に縦に小さなヒビ割れが入っているような場合にはレントゲン写真に写らないため診断が難しい場合もあります。

歯の神経を取った歯はヒビが入りやすい

意外に知られていないのですが歯の神経を取る治療を受けた歯はヒビが入りやすいです。

歯の神経を取った歯は、神経がある健康な歯に比べて非常に強度が弱くなります。

歯の神経を取る治療をする時、神経の周りの歯質も削って除去しなければならず、削れば削るほど歯は薄くなります。

削って薄くなった分、当然ですが力がかかった時に歯は割れやすくなってしまいます。
歯の神経を取る治療は一緒に血管もとってしまいます。神経のある歯は血管を伝って歯に栄養が行き渡りますが、神経のない歯は血管もなくなるので栄養が届きません。

生きた木から枯れ枝のように状態になります。神経がない歯は力がかかった時にパキッと割れやすくなります。

このように、神経のない歯は、噛む力で割れるなどのトラブルがとても起こりやすいです。歯の根まで折れてしまうことを「歯根破折」といいます。

歯のヒビから歯根破折が起こる原因

歯に縦にひび割れが入る原因は、噛む力や、歯ぎしり、食いしばりによる負担です。

ばい菌が原因なのではなく「力」が原因なのです。

硬いものを噛み砕いた時や、もちっとしたフランスパンのような食感のものを横に噛みちぎった時などは特に歯に縦にひび割れが入りやすいです。

歯は横揺れの力に非常に弱いです。

そして、就寝時の歯ぎしり、くいしばりも歯にかなりの負担がかかります。

寝ている時だけ、仕事中であってもギューット何かに集中している時や、ストレスを感じて疲れている時などに

ふと気が付けばギューット食いしばっている方もいると思います。しかし歯軋りや食いしばりは無意識でやっている癖ですのでよほど自分自身で意識して「食いしばらないように」気を付ける必要があります。人によってはご自身の仕事場のパソコンの画面の横にメモ紙を貼って「食いしばらない」と書いている方もいらっしゃいましたが無意識を意識レベルにもってくる非常にいい方法だと思います。

歯に縦にひび割れが入った時、自然に治ることはありません。

歯に縦にひび割れが入った時はこれ以上、ひび割れが深くなっていかないように破壊防止用のマウスピース等で力から保護することが大事です。